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YouTube運営にAIを導入してみた — 自動化できたのはマーケだけだった

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YouTube運営にAIを導入してみた — 自動化できたのはマーケだけだった

YouTube運営にAIを導入して動画制作を効率化させる——そう期待して、撮影、編集、公開後のマーケティングまでの工程でAIを導入できるかどうか考えた。結論から言うと、動画編集の大半はAIで代替できず、効いたのはマーケティング領域だけだった。

私設図書館のYouTubeチャンネルを週1本ペースで運営している私が、どの工程で使えて、どこが無理だったかをメモしておく。

私のYouTubeチャンネルと制作ワークフロー

私は私設図書館のYouTubeチャンネルを運営していて、週に1本、20分程度の動画を制作してアップしている。撮影は月に2回ほど。演者は2人で、トークがメインの構成。

制作ワークフローを分解すると、以下になる。

工程内容使用ツール
撮影トーク収録、音声はレコーダーで別録りカメラ + レコーダー
映像編集オープニング・エンディング・インサート画像の挿入Premiere Pro
音声編集ノイズ処理、BGM・SE挿入Logic Pro
字幕付け会話のほぼ全てに字幕を入れるPremiere Pro
サムネイルスクリーンショットから作成、AB案を制作Photoshop
公開設定タイトル・概要欄・タグの設定YouTube Studio

オープニングにはキャッチーなフレーズをいくつか入れ、エンディングには次回予告と書籍の広告を入れている。トーク中のBGMは基本なし。セクション間にSEを入れることがある程度。オープニングのBGMは自作で、エンディングはArtlistの楽曲を使っている。

この全工程のうち、AIで何ができるのかを試した。

YouTube Studioのコンテンツ一覧 — 週1本ペースで動画を公開している

動画編集にAIは使えるか — 正直、ほとんど使えない

結論から言うと、動画編集の工程でAIが代替できた作業はほぼない。字幕の自動生成、フィラーの自動カット、インサート画像の自動挿入——主要な3工程を試したが、いずれも実用レベルには達しなかった。精度の問題というより、専門的な会話の文脈理解がAIに委ねられないことが根本的な原因だ。

字幕が最大のボトルネック

私のチャンネルでは、トークのほとんどに字幕を入れている。色々と検討した結果、視聴維持率に効くと判断したからだ。そして、この字幕作業に極端に時間がかかっている。

Premiere Proの自動字幕機能は、発語した言葉の文字起こし自体はできる。ただし精度が問題で、漢字の変換を誤る、言葉の区切り位置がおかしい、といったミスが大量に発生する。特に私のチャンネルは文学に関する専門的な話題が多いので、固有名詞の誤変換が頻繁に起こる。

結果として、自動生成された字幕を修正する時間が膨大なリソースを削り取る。

Premiere Proの字幕編集画面 — 自動生成された字幕を手動で修正している

フィラーのカット判断はAIにできない

動画編集で時間がかかるもう一つの工程が、フィラー(「あー」「えー」「まぁ」など)のカットだ。

Premiere Proにはフィラーを自動検出して削除する機能がある。しかし問題は、すべてのフィラーを削除すればいいわけではないということ。トークの流れや間(ま)によって、残した方が自然なフィラーもある。専門的な話をしている場面で「えー」を全部カットすると、話者が考えながら話しているニュアンスや、コミュニケーションにおける「行間」のようなものが消えてしまう。

この「残すか切るか」の判断には、話のコンテクストの理解が必要で、今のAIには任せられない。

インサート画像・キャプションの挿入

トーク中に入れるインサート画像や映像の切り替え、キャプションの挿入もPremiere上で行っている。どのタイミングで何を見せるか、話の内容に合わせて判断する必要があるので、これも自動化は難しい。

(まぁ、私自身、こういうディテールをコツコツ作り込むのが好きなので、代替したいともあまり思わないのだけれど)

AIが効いたのはマーケティング領域だった

動画編集では使えなかったAIだけれど、マーケティング周りでは大いに助かっている。

具体的には、以下の作業をAIに任せている。

  • 動画の冒頭の掴み文言 — 映画のトレーラーのような、視聴者を引き込むフレーズ
  • YouTubeのタイトル案 — 複数案を出させて比較検討
  • サムネイルの文言と構成案 — キャッチコピーの案出しとレイアウト提案
  • 概要欄の冒頭文章 — 検索にも効く導入テキスト

やり方は、まずPremiereで生成した字幕データと、YouTube用に作成したタイムスタンプをAIに読み込ませる。これで動画の内容をAIが把握できる。

YouTube Studioのダッシュボード — チャンネルのパフォーマンスデータ

さらに、過去のYouTubeアナリティクスデータを分析させる。どんな動画が伸びたか、視聴者の属性はどうか、クリック率が高いサムネイルの傾向は何か——こうした細かな分析データをAIに渡して、それを踏まえた上でアウトプットさせている。

YouTubeアナリティクス — 1年分の視聴データをAIに分析させている

もちろん、AIが出した答えをそのまま使うわけではない。ただ、情報が整理されるし、何案か出させることで自分の思考とは異なった角度のアイディアが降りてくることもある。

従来のサムネイル作成やタイトル考案にかかっていた時間と比べると、おそらく 1/3くらい にはなっている。

Claude Codeで変わったアウトプット管理

マーケティング領域のAI活用をさらに進化させたのが、Claude Codeの導入だった。

以前はGeminiを使っていたのだけれど、Claude Codeの場合、それぞれの動画の資料を番号付きのフォルダに入れて管理できる。

Claude Codeでのフォルダ構造 — 動画ごとに字幕データやアナリティクス分析を格納字幕データ、アナリティクスの分析結果、AIが生成したタイトル案やサムネイル案——これらをフォルダごとに格納させることで、アウトプット資料が整理される。

youtube/
├── 051/
│   ├── subtitle.txt        # 字幕データ
│   ├── analytics.md        # アナリティクス分析
│   ├── title-ideas.md      # タイトル案
│   ├── thumbnail-ideas.md  # サムネイル案
│   └── description.md      # 概要欄テキスト
├── 052/
│   └── ...

Claude Codeで字幕データを読み込ませている画面

Geminiではチャットの中に散らばっていた情報が、Claude Codeではファイルシステム上に構造化して残る。過去の動画のデータやアイディアも参照しやすいし、「前回のタイトル案と比べてどうか」といった分析もさせやすい。

Claude Codeの初体験で感じた「ファイルを操作できる」という強みが、YouTube運営のマーケティングでも効いている。

全工程を振り返って — 自動化できたのは一部だけ

私のYouTube運営における全工程を、AI活用の観点で整理する。

工程AI活用状況
撮影不可人間の仕事
映像編集(カット・構成)不可文脈判断が必要
音声編集(BGM・SE)不可選曲・タイミングは人間の判断
字幕付けほぼ不可自動生成の精度が実用に耐えない
フィラーカット不可残す・切るの判断がAIにできない
インサート画像・キャプション不可タイミングと内容の判断が必要
タイトル・サムネイル案活用中工数1/3に短縮
概要欄・掴み文言活用中情報整理と案出しに有効
アウトプット管理活用中Claude Codeでフォルダ管理

表にすると一目瞭然で、9工程中、AIが効いているのは3工程。しかもその3工程はいわゆる「マーケティング」に属するもので、動画制作の本丸である編集作業はほぼ手つかずだ。

「AIで動画制作が革命的に変わる」という記事をよく見かけるけれど、少なくとも私のようなトーク主体・字幕重視のチャンネルでは、革命のようなものは来ていない(まぁ、字幕以外は希求もしていないのだが)。

ただし、マーケティング周りの効率化だけでも価値は十分にある。サムネイルの制作時間が1/3になり、タイトルの案出しが格段に楽になった。アナリティクスの分析をAIに任せることで、自分では気づかなかった視聴者の傾向が見えることもある。

今は実際の動画編集や撮影にAIを使うことはない。Premiereの字幕精度が劇的に向上するか、文脈を理解した上でのカット判断ができるAIが登場すれば、話は変わるかもしれないが。

それまでは、編集は人間の仕事として、コツコツやっていく。(楽しいし)

参考文献

WRITTEN BY

須山 真怜

須山 真怜

有限会社ボルボックス/株式会社good umbrella代表

多拠点経営・私設図書館運営。非エンジニアとしてAIを実務に活かすべく奮闘中。

よくある質問

QYouTube動画の編集作業でAIが使えない工程はどこですか?
字幕の修正、フィラー(えー、あー)のカット判断、インサート画像・映像の切り替えタイミングなど、文脈の理解が必要な工程はAIでの代替が難しいです。Premiere Proの自動字幕は文字起こし自体はできますが、変換精度や言葉の区切りの誤りが多く、修正にかえって時間がかかります。
QYouTubeのマーケティングにAIを活用する方法は?
字幕データとYouTubeアナリティクスのデータをAIに読み込ませ、タイトル案・サムネイル文言・概要欄の文章を生成させる方法が効果的です。過去の視聴データを分析させることで、自分では思いつかない切り口の案が出てきます。
QPremiere Proの自動字幕の精度はどのくらいですか?
発語した言葉の文字起こし自体はできていますが、漢字の変換ミスや言葉の区切り位置の誤りが頻繁に発生します。特に専門用語が多いチャンネルでは、修正作業に手動で入れるのと同等以上の時間がかかることもあります。
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